2025年2月13日
新築住宅を購入後に、雨漏りや基礎の欠陥などの重大なトラブルが見つかったとき、もし引き渡し後に発見しても修理費用などを請求できることがあります。特に新築住宅では中古住宅に比べて責任が追求できる期間が長くなっているのが特徴です。今回は、新築住宅の瑕疵担保責任とはどういったものか解説していきます。
|瑕疵担保責任とは
瑕疵(かし)=普通ならあるべき品質や性能がないこと
つまり、住宅の瑕疵とは、生活に支障がでるような欠陥のことをいいます。
新築住宅を購入するとき、引き渡しのときに、欠陥がないかどうか売り主も買い主もチェックします。そこで欠陥が見つかれば、修繕の作業を行います。
しかし、構造上の欠陥などは、「事前チェックでは問題ないと思ったのに、あとからコンクリートにひび割れを見つけた」「実際に生活してみると雨が降ったときに壁が濡れている」・・・そんなトラブルもないとは言い切れません。売り主がどれだけ注意を払って建てていても、欠陥が発見される可能性はゼロではありません。
このような購入時には分からなかった「隠れた欠陥」に対する売り主の責任を「瑕疵担保責任」といいます。売り主は、故意や過失がなかったとしても、瑕疵担保責任を負わなければなりません。
|新築住宅の瑕疵担保責任は10年間
新築住宅の場合、売り主には10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。これは注文住宅でも建売住宅でも、どのメーカーが建てた住宅でも、すべての新築住宅で義務とされているものです。これを定めたのが、2000年の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」です。
品確法では、新築住宅の基本構造部部分に関する10年間の瑕疵担保責任を保証しています。
基礎構造部分とは
基礎・土台・床・柱・壁・斜材・小屋組み・横架材・雨水の侵入を防止する部分
|中古住宅の瑕疵担保責任は?
新築住宅の瑕疵担保責任は10年間ですが、本来、民法による規定1年間のみ。しかも、この民法の規定は「任意規定」なので、自由に修正や変更することができる仕組みとなっています。
中古住宅というのは、プロである宅建業者(売り主)と素人である買い主との間で結ばれることが多いもの。素人である買い主に不利な条件での契約が締結されることを避けるため、売り主が宅建業者の場合は「2年間の瑕疵担保責任」が義務付けられています。
もし不動産業者相手の中古住宅の売買契約の場合、瑕疵担保責任では最低でも2年間担保されることに。しかし、個人から中古住宅を購入する場合、瑕疵担保責任は3ヶ月前後といった短い期間に設定されることが多く、責任を免除する契約が結ばれることもあります。
|瑕疵担保責任の規定
民法は2020年4月に改正となり、「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」という文言に変わりました。改正のポイントは3つです。
1.「隠れた」という縛りの廃止
これまでの瑕疵担保責任では「隠れた瑕疵」、つまり「買い主が知らなかった」という縛りがありました。新しい民法では、「買い主が知らなかったかどうか」ではなく、「契約の内容と合っているか」という基準で判断されます。
2.追完請求・代金減額請求
これまで請求できていた「損害賠償」「契約解除」の2つに加え、「追完請求・代金減額請求」も認められることとなります。追完請求とは、「契約に合わないので直してください」ということ。この請求に応じられないケース、例えば直すことができなかった場合などに代金の減額も請求できます。
3.損害賠償請求の範囲拡大
そして大きな違いが、損害賠償請求の範囲。これまで「契約によって被った被害に対する請求」のみだったのが、改正後は「契約が履行されていれば本来発生していた利益」についても損害賠償請求できることになります。例えばこれまでは土台の補修費用のみの請求だったところを、補修工事の間、仮住まいとして住居を借りる費用についても請求できるということです。
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