2024年9月27日
住宅を建てるときには、「建築確認」と呼ばれる検査を受ける必要があり、数万円程度の申請費用がかかります。建築確認の内容をよく理解しておかないと、家を建てるときだけでなく、後で売却をするときにも困ってしまうものです。基本的な流れや必要となる書類、申請にかかる費用など、正しく理解を深めておきましょう。
建築確認は、建築主が建物を建てる前に、その建物が建築基準法などの法令に適合しているかを事前にチェックするものです。建築確認は管轄する自治体もしくは、自治体から指定を受けた民間の検査機関が行います。
チェックを受ける内容は、建ぺい率や容積率、居室に光が十分に入る構造かどうかといった点です。2020年からは、省エネ基準を満たしている建物であるかもチェックされています。
建築確認の申請そのものは、住宅の工事を担当している施工会社や設計事務所が行うものであるため、施主が自ら行動をする必要はありません。住宅の新築時だけでなく、10m2を超える増改築のケースや車庫、倉庫といったものを建てるときにも建築確認は必要になります。
基本的な流れは、まず、住宅の着工前に施工会社などを通じて、建築確認申請を行います。
自治体による書類審査に問題がなければ、「建築確認済証」というものが発行されるので、きちんと保管をしておきましょう。一般的な建物の場合は、建築確認申請を行ってから結果が通知されるまで7日程度かかります。
そして、工事が完成した後には完了審査を申請して、法令の基準をしっかりと満たしている住宅かをチェックしてもらいます。完了審査に問題がなければ、「検査済証」が発行されます。
建築確認にかかる費用は自治体によって異なるものの、一般的には床面積の広さによって決められています。建築確認と中間検査、完了検査のそれぞれで費用がかかる点に注意をしておきましょう。
エレベーターなどの設備などは手数料がかかり、設備を変更するときにも同様に費用が発生します。申請を行う前に具体的な費用を知りたい場合には、自治体の窓口に問合せください。
また、建築確認を自治体ではなく、民間の検査機関が行う場合には少し高くなります。必要となる費用は定められた期日内に現金で支払わなければならないので、あらかじめ準備をしておきましょう。
建築確認を申請するためには、建築確認申請書を自治体もしくは民間の検査機関に提出する必要があります。申請そのものは施工会社などが行ってくれますが、住宅の工事を始める前に必ず行うものだという点を押さえておきましょう。
建築確認申請書を提出するときには、建築計画概要書もそろえておかなければなりません。建築計画概要書というのは、敷地面積や建物の大きさ、配置図などを記載したものであり、正副2通を作成したうえで引き渡しを受けるときまで副本を施工会社などに保管しておいてもらいます。
申請書類に問題がなければ、建築確認済証と検査済証が発行されますが、住宅の売買において重要な書類であるので紛失しないように気をつけましょう。建築確認済証がなければ、住宅を建てられないだけでなく、住宅ローンの審査などにも影響が出てしまいます。
また、検査済証がなければ住宅が完成したとしても、利用することができなくなってしまうので、こちらも注意が必要です。
建築確認が済んだ後には、基本的には間取りや設備の変更は行えません。もし後から変更したときは、改めて申請を行う必要があります。
建築確認が終わるまでは工事が進められないので、結果的に建築費用がかさんでしまうでしょう。一方で、コンセントの位置を変更したり、室内の内装を変えたりするといった程度のものであれば後から申請することも可能です。
いずれにしても住宅を建てる段階で、念入りに建築計画をチェックしておくことが大切だといえます。小出しで工事を繰り返してしまうと、その分だけ費用もかさんでしまうので注意しましょう。
また、建築確認済証は基本的に再発行されないものなので、きちんと保管しておくことを心がけましょう。必要なときに書類が見つからなければ、後から困ってしまう恐れもあります。
ただ、建物の購入から長い年月がたってしまうと紛失してしまうケースもあるものです。そのような場合には、建築計画概要書もしくは台帳記載事項証明書を発行してもらえば代用できます。
建築計画概要書は、市区町村役場で発行してもらえるもので、建物に関する検査履歴や取得年月日、確認番号などがチェックできます。また、台帳記載事項証明書も自治体の窓口で発行でき、建築確認済証と検査済証の記録を調べられる書類です。
証明書を発行してもらうには、建築確認番号や登記事項証明書の写しなどのほかに、本人確認書類や建築当時の地名地番が必要になってくるのであらかじめ確認しておきましょう。
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