2024年8月15日
耐震等級とは、地震に対する建物の倒壊などを防ぐ耐久力を示した基準のことです。
耐震等級は、2001年に施行された「品確法」によって規定されています。建築基準法の「新耐震基準」を満たしているものは、耐震等級1級の強度があるとされています。
なお耐震基準には「旧」と「新」の基準があり、1981年6月に基準が見直されたことによって、建築基準法が改正されました。この改正によって示された耐震基準が、「新耐震基準」と呼ばれています。
具体的な新旧の耐震基準の違いは、以下です。
【耐震基準の違い】
1981年以降は旧耐震基準で建築ができないため、1981年以降に建築された建物であれば、新耐震基準を満たした建物になります。
耐震等級には、以下の3段階があります。
耐震等級
それぞれについて説明します。
耐震等級1とは、建築基準法で定められている新耐震基準と、同じ強度を持っている建物であることを示すものです。したがって、新耐震基準を満たした新築住宅は申請をすることで、耐震等級1の認可を得られます。
耐震等級2とは、地震に対する耐久力が耐震等級1の1.25倍を有する建物であると示すものです。学校や病院など避難所として指定されている建物は、耐震等級2以上の基準が必要です。
なお「長期優良住宅」として認定されるためにも、耐震等級2以上が条件になります。
耐震等級3とは、地震に対する耐久力が耐震等級1の1.5倍を有する建物であると示すものです。高い耐震性能を有しており、地震保険の耐震等級割引で50%の割引を受けられます。
ちなみに、不動産会社が耐震等級3相当という言葉を使用していることがあります。しかし「耐震等級3相当」とは、耐震等級3と同様の耐震性能を有しているけれど、正式な認定は受けていないもののことです。耐震等級3の認定を受けるには、10〜20万円程度の費用がかかるため、費用を抑えたいという理由から認定を受けないこともあります。
住宅の耐震等級の目安は、以下のとおりです。
目安 | |
---|---|
耐震等級1 | 建築基準法で定められている耐震基準と同じ強度を持っている建物 |
耐震等級2 | 地震に対する耐久力が耐震等級1の1.25倍を有する建物 |
耐震等級3 | 地震に対する耐久力が耐震等級1の1.5倍を有する建物 |
では、住宅の耐震性能がどの耐震等級であるかを調べるためには、どうすればいいのでしょうか? 調べ方は購入する住宅によって異なるため、以下の5つのケースで紹介します。
注文住宅を建築する場合は、建築会社と打ち合わせて設計する段階で、住宅の耐震等級を決めることが可能です。ただし、正式に耐震等級の認定を受けるときは、住宅性能評価書が必要になります。性能評価を受けるためには、ハウスメーカーや工務店に申請を相談する必要があることを覚えておきましょう。
建売住宅の場合は、基本的にハウスメーカーや工務店が耐震等級を事前に決めています。
ただし、必ずしもハウスメーカーや工務店が住宅性能評価書を申請して、耐震等級を調べるわけではありません。建売住宅を購入する前に、どの耐震等級かを確認することは重要です。
仮に耐震等級が分からない場合や、耐震等級が正式に認定されていない場合は、ハウスメーカーや工務店に認定を得られないか相談をしてみましょう。
新築マンションの場合は、基本的にデベロッパーが耐震等級を決めています。そのため、購入を検討しているマンションの耐震等級について、デベロッパーに確認しておきましょう。
ちなみに、一般社団法人住宅性能評価・表示協会の2019年のデータによると、共同住宅の約81.7%が耐震等級1になります。したがって、マンションも耐震等級1が多いです。このように多くのマンションは耐震等級1なので、耐震等級が1以上のマンションに住みたい場合は購入前に確認するようにしましょう。
中古一戸建て住宅の耐震等級を調べる場合は、不動産会社に問合せをして住宅性能評価書を確認することで、耐震等級が分かります。ただし、住宅性能評価書がない場合は耐震診断が必要です。
耐震診断とは、建物の耐震性を調べる方法です。外部の専門機関に依頼して耐震診断を行ってもらうことが多く、調査費用もかかります。とはいえ、購入を検討している中古物件の耐震性が気になる方は、耐震診断を行うようにしましょう。
中古マンションの耐震等級を調べる場合も、不動産会社に問合せをして住宅性能評価書を確認することで耐震等級が分かります。ただし耐震性能評価書がない場合は、中古住宅と同様に耐震診断が必要です。
マンションで耐震診断を行う場合は多額の費用がかかるため、個人での依頼は現実的ではありません。管理会社や不動産会社に耐震診断を実施してくれるかを、確認するようにしましょう。
住宅を購入した後に耐震等級を高めたいなら、耐震リフォームを検討してみましょう。耐震リフォームを行うことで、耐震等級1の家を耐震等級2にできます。
ただし、マンションの場合は多額の費用がかかるので、個人で耐震リフォームを行うことは現実的ではありません。ここでは、耐震リフォームの内容と費用について解説します。
耐震リフォームの内容は、基礎の補強や柱と土台などの接合部の補強、壁の強化や増設、屋根の軽量化などがあります。
たとえば基礎の補強については、ひび割れの補修や鉄筋コンクリート造の基礎の追加、新たな基礎を設置するなどの工事を行うことで、耐震性を高めることが可能です。しかし建物の状態によって耐震リフォームの内容が変わってくるため、事前に耐震診断を行う必要があります。耐震診断後にどういった補強が必要なのかを確認して、スケジュールを組むようにしましょう。
ちなみに、耐震リフォームはほとんどの場合、建物の一部を解体して行います。補強内容によっては仮住まいが必要です。リフォームの内容によっては住みながら行うことも可能ですが、その場合は時間がかかることに注意しましょう。
耐震リフォームにかかる費用は、建物の状態や耐震等級をどれにするのか、建物の構造が木造か鉄筋コンクリートかによっても変わります。
たとえば、耐震等級1を満たしていない木造住宅を耐震等級1にする場合は、150〜200万円程度必要です。また、前述したとおり耐震リフォームを行う前に、耐震診断を行うことも重要になります。耐震診断の費用は5万〜20万円程度です。
このように、耐震リフォームにかかる費用はリフォームの内容によって大きく異なります。耐震診断の結果を踏まえて見積もりを取るようにしましょう。
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